空手の稽古や試合で相手に反応し「今だ!」と拳を突き出したとき、突きが遅かったり、突きが遅れてしまうことはありませんか。
それは『力み(リキミ)』が原因かもしれません。
突きが遅い、遅れる原因が『力み』と分かっていても、『力み』がなかなか治らないという方も少なくないと思います。
私は『力み』には大きく二つの原因があると思います。
原因1
息を止めて突いている
原因2
肩だけで突いている
この記事では
Q.『力み』はどうして突きを遅くするのか
Q.なぜ息を止めると、突きが遅れるのか
Q.なぜ肩だけで突くと、突きが遅くなるのか
A.力みを改善するコツ
を紹介します。
これが全てが治るという確実なものはありませんが、原理を理解することで、『力み』を改善するヒントにはなると思います。
後半には『力み』の実験や、改善方法も紹介していますので、最後までよろしくお願いします。
目次
そもそも『力み』はどうして突きを遅くするのか
「腕の筋肉を見せて」と言われたら、皆さんはどこの筋肉を見せますか?
多くの人は、腕を横に上げ肘を曲げた上腕二頭筋、いわゆる「力こぶ💪」をイメージするのではないでしょうか。
腕を伸ばし「見て、俺のキレてる上腕三頭筋✨」という人は、特殊なトレーニングをしている人でなければ、あまりいないと思います。
ほとんどの人は、身体を「曲げる」筋肉を使うことが「力を入れる」ことになっています。
「空手の突き」は拳を前に突き出す「腕を伸ばす」動作です。
力みが突きを遅らせる原因
- 拳を突き出そうと一旦「曲げる」筋肉に力を入れ、曲げる筋肉の力を緩めてから拳を突き出すから、ワンテンポ遅れる
- 「曲げる」筋肉に力を入れたまま拳を突き出そうとすれば、腕を伸ばす力にブレーキをかけるから、ぎこちなく遅い突きになる
①息を止めて突いている
「んっ」って息を止めてしまうと、息を止めてから突きが出る。
息を止めた分だけ、筋肉に無駄な力みがおきてしまい、息を止めた時間だけ突きを出すタイミングがワンテンポ遅れてしまいます。
リキミ改善するコツ①
- 息を止めるのではなく、動こうとするときに息を吐く
- イメージとしては、目の前にあるロウソクの火を消すように「フッ」と息を吐く
- 腹圧で息を細く、鋭く吐く
- 動き始めに息を止めるとワンテンポ遅れるが、息を吐くことと突きは同時に出すことができる
- 腹の力で突き出すようなイメージ
②肩だけで突いている
肩だけの力で突いてしまうと、脇の締めが甘くなります。
相手という目標に拳を速く到達させたいのに、肩に力が入ることで肩が先行してしまい、拳を突き出すタイミングが遅れてしまいます。
結果、拳が目標へ到達するタイミングが遅れてしまいます。
空手の突きのスピードは速いですから、その拳を突き出すタイミングの遅れが命取りになることもあります。
リキミ改善へのコツ②
- 突こうと思ったときには、突き出す側の肩や腕で拳を突き出すのではなく、引き手で反応をする
- 突き出す反対の「引き手」はただ腰に引くのではなく、腰で強く引き付ける
- 右の拳は右の肩のチカラを抜き、「引き手」の勢いで突き出すイメージ
実験
実験方法
1.相手と突きが届かない距離に向かい合う。
2.先に動く者と、後に動く者を決めておく。
(以後説明を簡略化するために、先に動く者を「先(せん)」、後に動く者を「後(ご)」と表現します)
3.お互い、突きの基本動作の構えをとる。
(私の流派では、両足を腰幅に左右に開き、右拳を右腰に、左手を正面に構えます)
4.先は右手で中段を突く
5.後は先の突きに反応して、右手で中段を突く
実験①
- 後は、3で構えた時に息を止めて構える
- 後は先の動きに反応して右手で、中段を突く
実験②
- 後は、3で構えた時に両肩に力を入れて構える
- 後は先の動きに反応して右手で、中段を突く
実験結果
いかがでしょう。
肩に力を入れた場合、息を止めた場合、ほとんどの「後」の方は、「先」の突きの動きに遅れませんでしたか?
「先」の動きに反応して『突こう』と思った『意識』と『動き』にズレや遅れがありませんでしたか?
突きが遅れたという方、それが『リキミ』です。
これから紹介する、ブラクロ流の『リキミ』を改善する方法を試してみてはいかがでしょうか。
リキミの改善方法
実験方法の1から5を同じく行います。
「後」の者はまず、肩のチカラを抜き、リラックスして構えます。
そうして、実験方法4の「先」の突きに対しての反応方法を変えてみます。
改善方法①
- 「先」の動きに対して、息を吐くことで反応して突く
改善方法②
- 「先」の動きに対して、引き手で反応して突く
いかがでしょうか。
実験1や実験2よりもスムーズに反応することができたのではないでしょうか。
息を吐くこと、引き手で突くことで、リキミを改善することができます。
まとめ
息を止めたり、肩だけで突いてしまうと『力み』に繋がってしまいます。
- 息を吐くことで反応して突く
- 引き手で反応して突く
空手には、これさえやれば完璧という特効薬のようなものはありません。
なぜできないのか。
どうやったらできるようになるのか。
ひとつひとつは小さいことでも、それを改善するために自らが考え行動し、稽古していくことに意義があるのだと思います。
皆さんも一緒にこれからも稽古をしていきましょう!
空手道は学ぶことや面白いことでいっぱいである