稽古

【技と呼吸】空手初心者が肩の力を抜き、リキミを軽減させる方法

呼吸を意識して稽古をしていますか?

押忍!ブラクロです。

突然ですが、空手の稽古に励んでいる皆さん、

師範

「もっと肩の力を抜きましょう」

「リキんでいますよ」

と指摘されたことありませんか?

もしかしたら、その肩に入ってしまう力リキミは『呼吸の使い方』で改善できるかもしれませんよ。

今回のポイント

呼吸と技を合わせる

この記事では、空手初心者が少しでも上達できるように『呼吸と技』について説明をしていきますが、ある程度空手の練習を重ねた人にもう一度自分の技を振り返ることで新たに発見があるかもしれません。

空手の練習に励んでいる人たちに、少しでも参考になれば幸いです。

最後までお付き合いください。

どうして呼吸が大切なのか

息を止めてしまう

空手を習い始めたばかりのときは体を動かすために力んでしまい、「んっ」と息を止めてしまっていることがあります。

ましてや技を覚えることだけで頭がいっぱいになってしまったり…。

例えば突きや蹴りの練習で
指導者が10回号令をかけたときに、10回の号令の間ずーっと息を止めたままになっている人もいます。

ブラクロ

「そんな人いないよ(笑)」

と思うかもしれませんが、実はけっこういるんです。

空手の突きや蹴りを10回練習する時間は、多く見積もってもせいぜい10秒程度。

10回技を練習した後や、途中で息が苦しくなって顔を真っ赤に息を切らしてしまったりする人もけっこう見かけます(笑)

呼吸を止めたまま練習をしていては、これからもっと動きが激しくなる練習で呼吸が最後まで持つのは難しくなってきます。

 

私が所属する空手流派の型(かた)の動きの数(挙動数)は、20挙動から多いもので67挙動まであります。

息を止めたままでは、演武の半分も呼吸はももちません。

型や組手などの「試合」や昇級昇段への「審査会」では、練習を積み重ねた人であっても緊張感のあまり呼吸を忘れてしまうこともあります。

普段は意識をしなくてもできる呼吸ですが、空手の練習では「意識をして呼吸をすること」が大切です。

 

肩や腕”だけ”の力で大きな力は発揮できない

他の武道やスポーツも同じように、強い力を発揮するためには全身で力を発揮し、その力を一つに集中することが必要になります。

例えば、

・野球のバットを「腕だけ」で振ったり…
・サッカーのボールを「足だけ」で蹴ったり…

「腕だけ」や「足だけ」では大きな力を発揮したり、目標へ大きな力を伝えることはできません。

強い力を得るためには、全身で力を発揮し、力を一つの技に集中させることが大切です。

まずは、下半身から発生する力を技に伝えること。

 

そのための第1段階として、肩の力を抜いてリキミを無くすこと。

そして、リキミを無くすためには、「息を吐く」ことがポイントになります。

 

ここで一息

ー 呼吸は手段。技の向上が目的 ー

呼吸は大切なポイントですが、一つの手法(手段)です。

呼吸を意識することで余計にリキんでしまったり、技が弱くなってしまっては本末転倒。

リキミがなくなるよう、技に力を伝えられるように、呼吸を意識して練習をしましよう。

 

一瞬技が遅れる

空手の応酬は、鋭い速さの技のなかにあり、「一瞬」という時間が勝負の勝ち負けを左右します。

息を止めてしまったり、「んっ」とリキんだ後に技を出していると、技の出だしに一瞬の遅れが生じます

「んっ」というリキミで1挙動、技で1挙動、いつまでたっても、いくら速くても2挙動のまま。

 

空手の攻防では、一瞬というほんの少しの時間が大きい。

ブラクロ

私もその一瞬の遅れで何度も試合で負けたことがあります…(汗)

 

普段の練習から息を止めていたり、リキんでいると、それが癖になってしまいます。

私の指導経験でも、ある程度の技術が身についてから悪い癖を直そうとしてもなかなか直らないし、とても時間がかってしまいます。

新しく動作を習得するだけでもたくさんの練習が必要ですので、悪い癖を改善するのは更にたくさんの練習や意識した練習が必要になります。

 

ほんのちょっとしたことですが、呼吸はどんなときでも必要なこと。

悪い癖をつけないように、普段から意識し、気をつけて練習をしましょう。

 

呼吸は腹式呼吸で

呼吸は腹式呼吸で行いましょう。

 

胸で行う腹式呼吸では、

  • 強い力を発揮しようとしたときに息を止めてしまったり
  • 息を吸ったときに肩が上がってしまったり

肩に無駄な力が入ってしまいがちになります。

 

下腹部を意識して、下腹部で息を吸い、下腹部で息を吐く感覚です。

私個人の感覚では肺に息を取り込むのではなく、下腹部へ空気を取り込み、下腹部で空気を圧縮して押し出すという感覚です。

ー もう少し具体的に ー

両手を胸に当て(胸骨辺り)、息を吸ったときに胸が動かない(広がらない)ように、下腹部の中を引き下げるように息を吸う。

息を吐く時は、下腹部を上下左右から締めつけるようにして息を吐く。

最終的には、下腹部を膨らませなくても息を吸ったり吐いたりできるように。

 

もっと腹式呼吸について知りたい方は『空手の練習には腹式呼吸がいい理由とその方法』も参考にどうぞ。

 

呼吸と技を合わせる

衝撃力という運動エネルギーは、

質量×速度の2乗

に比例して大きくなるといわれています。

単純にいうと、スピードを速くするほど、運動エネルギーを大きくすることができます。

ブラクロ

質量を大きくすることも大切ですが、別の機会に説明します。

「ん~っっ…」とリキミのあるゆっくりとした力ではなく、「シュッ」とした瞬間的な速さのイメージです。

 

まずは「息を吸って」準備をする

瞬間的な大きな力を発揮したいときには、「息を吐く」こと。

そのためには、まず「息を吸って」準備をしておくことがポイント。

技を出そうと思ったときに息を吸っていては、動作が遅れれしまいますし、動作が忙しくなってしまいます。

 

例えば

呼吸とは、「息を吸う」「息を吐く」という二つの動作から成り立っています。

仮に、「息を吸うのに0.1秒」「息を吐くのに0.1秒」かかるとしましょう。

技を出そうと思ったときに息を吸い(0.1秒)、技を繰り出すときに息を吐く(0.1秒)=技を繰り出すまでに0.2秒の時間を要します。

 

息を吸っておき、技を繰り出すときに息を吐く(0.1秒)=技を繰り出すまでに0.1秒

「息を吸う」という準備をしておくことで、動こうと思ってから行動するまでの時間を半分にすることができます

 

そして、「今だ!」と思った瞬間には技を繰り出すことができるように準備をしておくことが、次の動作のリキミも軽減させてくれます

 

「息を吐く」タイミングに技を出す

技に合わせて息を吐くのではなく、息を吐くタイミングに合わせて技を繰り出すことがポイント。

技に呼吸を合わせるのではなく、呼吸に技を合わせること。

 

リキミという遅い動作ではなく、「フッ」と息を吐く速い動作に技を合わせること。

息を吸って準備をし、息を吐くタイミングに合わせて技を繰り出しましょう

基本技に例えるなら、下腹で息を素早く押し出し、下腹で突き、下腹で受け、下腹で蹴る感覚です。

 

防御から反撃する連続動作は、息を「吸って」「吐く」

相手の技を防御(受け技)してから反撃する連続動作では、息を「吸って」「吐く」という『ひと呼吸』に技を合わせます。

 

一つの技にひと呼吸の場合、

・防御のときにひと呼吸(1動作)
・反撃のときにひと呼吸(1動作)

合わせて2つの動作になってしまいます。

 

防御のときに「息を吸い」、反撃のときに「息を吐く」ことで、連続した『ひと呼吸(1動作)』で防御から反撃を終えることができます

ブラクロ

単純にいうと「半分の時間」で動作ができ、技が「速くなる」ということ

例えば、激しい動作や演武時間の長い空手の型(かた)でも、防御で息を吸い、攻撃で息を吐くことで自然と呼吸を行うことできるようになり、息の乱れも少なくなってきます。

 

連続攻撃は息を「半分」に分ける

連続した左右の突き技や、蹴り技から突き技などの連続技は、吐く息を半分に分け、連続して息を吐き出す動作に技を合わせます。

相手に反撃の余裕を与えないように、技と技の間の時間を極限まで短くする。

 

でも、ただ手足に力を入れ速く動かそうとしても、なかなか速く動きません。

鋭く息を吐き出す瞬間に合わせて技を繰り出すことで、力まなくても手足を動かすことができます。

 

吐く息を半分に分け、下腹の力で鋭く連続して、息を吐き出すタイミングに合わせて技を繰り出す

鋭く連続して息を吐き出す「速い動作に技を合わせる」感覚です。

 

相手との技の攻防を行う「組手」などで、相手に反撃の余裕や時間を与えないように連続技を仕掛けるなどに有効です。

 

ポイント

個人的な経験ですが、

本当に強く鋭い技を連続して繰り出せるのは、せいぜい2つか3つ。

それ以上連続して技を繰り出そうとしても、技が弱くなってしまったり、技と技の間の時間が空いてしまいます。

ダラダラとした技では技と技との間(ま)が伸び、逆に相手に反撃を受けてしまいます。

 

どこまでが連続動作なのか、技の区切りはどこなのかを区別すること。

そのためにも技を終えた瞬間には息を吸い、素早く次の動作に備える「準備」が大切です。

 

普段から少しずつ意識して

人は、意識をして同時にできることの数には限界があります。

だからこそ普段の練習では、技の練習をしながらも呼吸と技の連動だけは意識をしましょう。

ブラクロ

呼吸と技の連動だけは「習慣化(癖)」にしてしまいましょう!

習慣化してしまえば、意識して同時におこなうことのリストから外すことができます。

 

これから更に複雑になる技や動作の練習でも呼吸を忘れないようにするためには、普段から少しずつ呼吸を意識して練習し、意識しなくても呼吸と技が自然に連携するようになるまで練習をすることが大切です。

 

あとがき

呼吸と技を合わせることで、少しずつ無駄な力が抜け、技の変化を感じることができます。

練習を重ね、肩の力やリキミが抜けてきたときには、空手初心者から一歩成長した姿になっていると思います

 

基本技の練習やの練習、相手と技を試し合う組手の練習のときに呼吸を意識することで、技の速さや強さ、新しい身体の使い方に気づくことができるはず。

自身の体験の中で「こんな使い方があったのか」と気づいたときや、新たな可能性に気づいたときの感覚は、言葉には表しきれない楽しさがあります。

その一つひとつが自身の成長を感じさせてくれます。

 

『人生は一度きり。人生は楽しんだもの勝ち!』

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