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【空手道稽古持論 技術】『突き』に悩んでいる空手初心者に提案すること

例えば、空手の初心者の方が基本的な『突き』を習った時、手を腰から身体の前へ突き出す動作は理解できても…

  • 指導者のように「シュッ」といかない
  • 力んでしまい、手で突いていると言われる
  • 上手く感覚が分からない、しっくりこない…

こんな風に悩んでいる人もいるのではないのでしょうか。

空手の技というものは、写真のや絵のように

『構えたところ』

『突き終わったところ』
を切り取った形(カタチ)なのではなく、構えたところから突き終わるまでの身体の使い方や動作を体得しなければなりません
決して、肩の筋力で腕を持ち上げるという動作ではありません。

私が提案することは、いろいろな稽古を『経験』するということです。
あたり前のことかもしれませんが、あたり前の中に答えがあるかもしれません

空手初心者の方悩んでいる方に何か一つでも参考になれば幸いです。

達人と素人の違い

「達人たちがどうしてあのように優れているのかを十分に説明する他の仮説がないから才能を重視する考えをみなが信じるのだ」

<中略>

達人と素人の違いは特定の専門分野で一生上達するために、考え抜いた努力をどれだけ行ったかの違いなのである。

引用元:株式会社サンマーク出版 2010年 ジョフ・コルヴァン著『究極の鍛錬』95ページより引用

理解できないことを「才能」と理由づけることで、説明や理論の究明をごまかしているのです。
なぜなら、「才能が無いから成し遂げられない」とあきらめる理由ができるから。
「才能が無いからここまでしかできない」と考えることや練習から逃げることができるから。

あたり前のことを、どれだけ行ったかの違いなのです。

何かを成し得た人たちのやり方を見習うことで、誰でも成長をすることができます。

私の理想とする『突き』

『突き』は肩で突いてしまうと、肩だけの力に頼ってしまいがち。
もちろん肩の力が強ければ、それなりに強い威力の突きを出すことはできます。

相手が止まっていて動かないのであれば、思いっきりブン殴れば素人でも威力はある程度凄いのかもしれない。

しかし、相手は動きます。
殴られると思えば、避けようとします。
ましてや経験者であれば、避けた後に反撃をしてくるかもしれない。

試してみれば分かりますが、相手に向かって肩の力でパンチを出せば、パンチを出す前に経験者でなくても反応されてしまいます

私の理想とする突きは、

  • 相手に反応されにくい
  • 且つ威力がある
  • 突こうと思った時には突き終わっている

そんな『突き』を目指しています。

肩の力だけにならないためには

まず、肩の力を抜く。
実際に肩の力を抜いても、腕を前に突き出す動作では自然と肩の力は使っています。
ただ、肩の力だけに頼らないようにするために、肩の力を抜くことが大切。

単純に考えて、肩の筋肉量よりも、腰や尻、脚の筋肉の総量のほうが筋肉量が多い。
基本的には、筋肉量が多いほうが発生する力は大きくなります。

大切なことは、その原動力となる力の発生源の筋力をいかに効率的に最大限の力を発生させるか。

肩に余計な力が入ってしまうと、せっかく下半身から発生した力が肩で止まってしまう。
下半身からの力を如何に増幅して拳の先に早く伝えるか。

力の『入れ方』と『使い方』を練習するのです。

でも肩に力が入ってしまう…

頭や理論では分かっているはずなんだけど、やってみるとどうしても肩に力が入ってしまう…。
私から見ると、肩に力を入れていないつもりでも、肩で引っ張ってしまっている人もいます。

どうすればいいのか…。

それは、あたり前の事かもしれませんが、いろいろな稽古を『経験』することです!

一つ一つの稽古には何らかの目的があります。
例えば、

  • 突きの出だしを良くするもの
  • 肩の力に頼らないようにするもの
  • 腰の力を腕に伝えるもの
  • 蹴りの軸足の強さが、突きの軸足の強さに影響を与えるもの

突きや蹴り、受けなどの身体の使い方は、様々な技と繋がっています。
それぞれの技の使い方が、少しづつ他の技に影響を与えています

上手くできなくても、稽古を続けるうちに「あ、今いい感じ」となる時があります。
その感覚を積み重ねていくことで「こうやったら上手くいった」と少しづつ自分の身体を試せるようになってきます。

先日の稽古では、理論とともに感覚を養うために『突き』だけで7種類くらいの内容を稽古しました。
身体の感覚を意識するうちに、だんだんと突きがスムーズになってきましたし、「シュッ」っと何回かいい突きが出ていることもありました。
立った姿勢も肩が下がったことで胸が開き、自然な姿勢になりました。

特効薬はありませんが、稽古を重ねることで『様々な部分』が『少しづつ』良くなってきます

あとがき

焦らなくていいのです。

少しづつ稽古を重ねていくうちに、だんだんと空手の身体になってきます。
「あ、いい感じ」という自分の成長を感じながら、稽古を楽しみましょう。

空手には『技術』という体系づけられた理論があります。
いろいろな稽古を『経験』するうちに、自分の中でぼやけていたものが少しづつ明確になっていく快感は、自己有能感を刺激しますよ!

好きなことは頑張らなくていい。楽しめばいい。

今回紹介した本【オススメ】

『才能』への考え方が変わります。

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