あなたの突きの衝撃力が作用する方向はどこですか?
突き技と打ち技の違いは説明できますか?
「え~っと…」っと思った方は、この記事を参考にしてみてはいかがですか。
少しは参考になると思いますよ(^^)
目次
突き技と打ち技の違い
前腕(肘から手首までの部位)あるいは下腿(膝から足首までの部位)に衝撃力が作用する方向(衝撃力の作用線)によって整理することができます。
(参考文献:杉浦初久二「空手道の体系について」亜細亜大学教養部紀行 1977年)
手技
- 前腕の延長線上へ作用する場合は『突き技』。直突きや貫き手など
- 前腕の横方向へ作用する場合は『打ち技』。手刀打ちや裏拳打ち、受け技(「受けは即ち極也」という考え方から)など。
足技
- 下腿の延長線上へ作用する場合は「蹴込み」。前蹴り(使い方によっては蹴上げになる場合もある)や横蹴込み、後ろ蹴りなど。
- 下腿の横方向へ作用する場合は「蹴上げ」。横蹴上げ、廻し蹴り(使い方によっては蹴り込みになる場合もある)など。
肘技
- 前腕の延長線上に作用する場合は「突き技」。横猿臂、後ろ猿臂、落とし猿臂など。
- 前腕の横方向へ作用する場合は「打ち技」。前猿臂、回し猿臂、後ろ猿臂など。
使用部位に衝撃力を伝える
使用部位とは
使用部位とは、突き技や打ち技、蹴り技を繰り出した時に、目標へ衝撃力を与える部分。
武器になる場所です。
例えば
- 突きの使用部位は『正拳』。握った拳の人差指と中指の付け根から第二関節までの四点の面)
- 裏拳打ちの使用部位は『裏拳』。人差指と中指の拳の甲側。
- 手刀打ちの使用部位は『手刀』。開いた掌の小指側側面。
- 前蹴りの使用部位は『上足底』(虎趾ともいう)。足のつま先を反らせた指の付け根。
- 横蹴込みや横蹴上げの使用部位は『足刀』。足の小指側側面。
- 前猿臂の使用部位は『肘』。肘の先端側から若干前腕側。
衝撃力を伝える
発生する衝撃力の作用線を、前腕や下腿の延長線なのか、横方向なのかを理解し、その力を使用部位に伝える事が大切です。
例えば
- 突きならば、前腕の延長線上へ作用する衝撃力を正拳へ伝える。
- 手刀打ちならば、前腕の横方法へ作用する衝撃力を手刀へ伝える。
- 前蹴りならば、下腿の延長線上へ作用する衝撃力を上足底へ伝える。
- 蹴り上げならば、下腿の横方法へ作用する衝撃力を足刀へ伝える。
手先や足先を動かしたり振り回したりするのではなく、上腕や下腿に伝わる衝撃力を正しく武器に伝えることが大切です。
基本稽古で『技の基本原理を理解し、習得する』ことが大切です。
形で確認する
形では様々な動作があります。
基本技と同じ動きだったり、応用的な動作や技があります。
特に受けた位置から突いたり受けたりする技の時には、使用部位へ正しく衝撃力を伝えることが難しくなります。
形の稽古で、様々な技へ正しく衝撃力を伝えられるか確認をしてみましょう。
例えば
私の所属する流派では『平安二段』があります。
3挙動目は左拳を右肩上から左側面へ中段突きを行います。
左拳を右肩から左側面へ移動するため、打ち技のように前腕の横方向へ衝撃力が向き、小指側で打ってしまいがちですが、前腕の延長線上へ衝撃力を向けて、正拳に衝撃力を伝えることが正しい使い方になります。
あとがき
最近の形競技では、手刀打ちなのに上腕の延長線上へ衝撃力を作用させたり(この使い方は貫き手になる)、突きなのか打ちなのかを区別していない演武がみられます。
速さや見せ方ばかりになり、目標へ衝撃力を伝える使用部位や衝撃力が技に作用する方向が疎かになっていることがあります。
空手競技であっても、相手を倒すという武術的基盤の技に基づいていなければ、空手とは云い難いと思います。
(それを指導する指導者や、良いと評価をする審判がいけないんですけどね…。)
この記事のまとめ
- 上腕や下腿への衝撃力の作用線を理解する
- 使用部位に衝撃力を伝える
- 基本稽古で基本原理を習得する
- 形で衝撃力の方向と使用部位を確認する
この記事を参考にして空手の知識を少しでも深め、稽古に生かしてもらえれば幸いです。
求道者であれ。