押忍!ブラクロです。
今回も『呼吸』についてお話ししたいと思います。
4つの呼吸方法
- 短吸短吐
- 長吸長吐
- 長吸短吐
- 短吸長吐
4つの呼吸方法を使い分けることで、
- 身体や技を呼吸でコントロールできる
- 型の練習の途中で息が上がりにくくなる
というメリットがあります。
この記事では、松濤館流の空手をもとに個人的な解釈も含め、ブラクロ流に解説をしていきます。
「今よりもちょっと空手が上手くなりたい」という、向上心を持っている人の参考になれば幸いです。
よろしければ最後までお付き合いください。
目次
呼吸の原則
呼吸のスピードと身体のスピードは関係している
例えば、その場で足踏みをしてみたときに…
- 息を緩く吐き出しながら、速く足踏みをする
- 息を鋭く吐き出しながら、ゆっくり足踏みをする
やりにくくありませんか?
- 足踏みを速くしたければ、鋭い呼吸を——
- 足踏みをゆっくりにしたければ緩い呼吸を——
原則として、受け技で息を吸う。攻撃で息を吐く
空手は武道であり、『相手と戦う』という前提があります。
相手からの攻撃を防御して終わるのではなく、防御した後には反撃し、相手を制する必要があります。
相手の技を防御し、その後に次の動きの準備をしていては、反撃までの動作が遅くなってしまいます。
(以下、防御を『受け技』、攻撃や反撃を『極め技』と表現します)
呼吸は吸って吐くように、息を吸い込む動作に受け技を合わせることで、息を吐く準備と極め技の準備を同時にすること。
受け技から極め技までを呼吸に合わせることで、『息を吸う』『息を吐く』という止まることのない2つ動作、いわゆる『ひと呼吸』で2つの動作を行うことができます。
息を止めたほうが力が入りやすいという方もいるかもしれませんが、スムーズに動くことはできませんし、息を身体の中に止めてしまうと力も身体の中に留まってしまいます。
考え事や不安なことがあると、呼吸を忘れがちになる
型の順番を覚えることに意識が集中してしまったり、大会や審査会など人に見られていると緊張したり…。
考え事や不安なことがあると、呼吸を忘れがちになります。
私が所属する松濤館流の空手の型の動作は、20挙動から多いもので67挙動まであります。
力任せな身体の使い方や技になっていたり、緊張のあまり浅い呼吸になってしまうと途中で息が上がってしまい、型の演武どころではなくなってしまいます。
息を吸う、吐くという『呼吸に動作を合わせる』練習をすることで、必然的に呼吸をすることになります。
人は普段意識しなくても呼吸を行っているように、最終的には意識しなくても空手の動きと呼吸を連動できるように『意識して』何度も練習することが大切です。
技をコントロールする4つの呼吸方法
最初にお話ししたように、呼吸には大きく分けると4つの方法があります。
息を短く吸って短く吐く『短吸短吐』
息を長く吸って長く吐く『長吸長吐』
息を長く吸って短く吐く『長吸短吐』
息を短く吸って長く吐く『短吸長吐』
息を吸う、吐く、呼吸の短長を組み合わせ、4つの呼吸方法として使い分けることができます。
そして腹式呼吸では下腹を意識し、肩や上半身の力をリラックスさせることが大切です。
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息を短く吸う『短吸』
速い受け技のときには、息を短く吸い込みます。
大切なことは、息を『素早く』吸い込むことです。
大きく鋭く受けるときは『大きく』吸い込み、細かい受けるときは『細かく』、受け技の使い方によって息を吸い込み方を使い分ける。
下腹で素早く、息を吸い込むタイミングに受け技を合わせることで、素早い受け技につなげることができます。
息を吸ってから動くのではなく、「スッ」と素早く息を吸い込み終わるタイミングと、技を受け終わる動作を合わせることがポイントです。
息を長く吸う『長吸』
ゆっくりとした受け技のときには、息を長く吸い込みます。
実際には、相手との攻防の中でゆっくりと受けるということはあまりありません。
息を大きく長く吸い込むことで、速く動くことができる身体の使い方を確認したり、練り上げることができます。
型の動作の中では、次の速い動作のための準備動作として使われることもあります。
息を大きく十分に吸い込むタイミングにあわせ、受け技で身体を十分に締め込みきることがポイントです。
息を短く吐く『短吐』
一般的に多く使われる動作で、速い極め技のときには、息を短く吐きます。
吸い込んだ息を身体の中で圧力をかけ、『短く鋭く』息を吐くことで、全身の力を瞬間的に発揮することができます。
注意する点は、息を吐き切らないことです。
身体の中の息を出し切ってしまうと身体が『虚』の状態になり、息を吸い込むまでの次の動作に時間がかかってしまいます。
次の動作のために『息を少し残しておく』ことがポイントです。
息を長く吐く『長吐』
極め技の力を出し切るために、息を長く吐きます。
息を短く吐く動作に合わせて力を出し切ることはいがいと難しく、力を出し切っているようで出し切れていないものです。
長い呼吸は鍛錬要素が多く、身体の中の息を出しきることで、全身の力を振り絞ることができます。
そして、貪欲に息を吸い込むために息を吐ききることがポイントです。
呼吸を使い分けること
原則を理解した上で呼吸を使い分けることが、型のリズムになる
速く動きたいときは、呼吸を速く。
ゆっくり動くときは呼吸をゆっくりと。
息を吸う、吐くという『呼吸』に動作を合わせることが、型のリズムになります。
だた速く動こうと手足だけを振り回したり、肩に力を入れて動きにブレーキをかけたり…
それでは。空手がもつ本来の力を発揮することはできません。
呼吸に技を合わせることで、全身を連動させる、全身の力を技に集約させる。
『呼吸』という止まることのないリズムに技を合わせるとで、流動的でキレのある型になります。
空手の受け技は、反撃に応用することもできる
空手の受け技は『受け極め一致』といい、相手の攻撃を防御することだけにとどまらず、『反撃』ということに応用していくこともできます。
簡単にいうと、相手が突きで攻撃してきた腕を折るように、受け技を叩きつけることもできます。
受け技で相手の関節を逆に極めたり、同じ手で受けながら突き込むこともできます。
受け技が反撃になれば『極め技』になり、吸う息も吐く息に代わります。
技や動きの目的を理解し、空手がもつ本来の技を使い分けられるように『呼吸』を使何度も繰り返し練習することが大切です。
呼吸は「こうでなければならない」と動きを制限するものではない
これまで呼吸を技について説明してきましたが、この技にはこの呼吸でなければならないということではありません。
大切なことは、様々な変化に対応できるように、呼吸も変化させることです。
そのためにも『型』という決められた動作で何度も繰り返し、呼吸と身体の使い方やタイミングを試していくことが大切です。
あとがき
まとめ
- 受け技から極め技までを呼吸に合わせることで『ひと呼吸』で2つの動作を行うことができる
- 息を吸う、吐くという『呼吸に動作を合わせる』練習をすることで、必然的に呼吸をすることになる
- 『呼吸』という止まることのないリズムに技を合わせるとで、流動的でキレのある型になる
- 様々な変化に対応できるように、呼吸も変化させること
空手に『人生という時間』を費やすことで、努力することへの『達成感』や、「こんな身体の使い方もあるんだ」と『やりがい』を感じることもできます。
空手に時間を費やすことで人生がより良いものになり、もっと空手が楽しいものになっていきます。
これからも空手を楽しめるよう、皆さんと一緒に私も稽古を続けていきます。
『生涯武道』。
空手道には、まだまだ学ぶことや楽しいことがたくさんある。