空手の試合で「寸止め」という言葉を耳にしたことはありますか。
空手の「一本勝負」と聞いたことはありますか。
私の所属する松濤館流の試合では、攻撃する技が制御されずその結果相手を負傷させる攻撃を禁止しています。
しかし、目標手前へ技を止めることや、ただ技が届けば良いというわけではありません。
=打つと云うことと、あたると云うことは全く違う、打つはどのような打ち方でも、心にきめて確実に打つことをいい、あたるはただぶつかるというほどのもの。たとえ非常につよく当って敵が忽ち死ぬほどにあっても、あたりはあたりである。人生においてもおなじで何かに成功した場合、それあが自らの実力と計画によって打ったのか、それとも偶然にうまくあたったか、よく見究めなければその成功は一度だけで終わってしまう=
引用元:昭和60年 株式会社カヅサ 中山正敏著 「空手道 精神と技法」81ページより
目次
寸止めとは
空手の技は当たれば危険なものです。
組手試合では、相手に直接加撃する(顔面を含む)ということは危険が伴い、競技が成立しません。
そこで採用されたのが「寸止め」です。
寸止めでの有効な技とは、相手を倒せる威力があり、かつ、目標寸前にコントロールされているものでなければなりません。
例えるならば、このまま打ち抜けば相手を倒せる技を、相手の急所寸前にコントロールすること。
相手へ加撃できる余裕があること。
「相手を倒せる威力のある技を、目標寸前にコントロールしている」のです。
腕が伸び切った突きが目標手前へ届いているだけのものや、なんとか相手に当たっただけというものは技にはなりません。
一本勝負の魅力
「一本」で勝負がつく
空手競技での一本勝負では、技の規準を全て満たしていれば「一本」と認められ、勝敗が決まります。
「技あり」二つでも「一本」となり勝敗が決まります。
一つのミスや、心の働きが勝敗を決めることがたくさんあります。
「技あり」を取られると後がなくなり、一気に不利になります。
一本勝負の魅力その1
一瞬のミスも許されない緊張感
自己をコントロールする
試合では「勝ちたい」、「恐怖」、「迷い」などという気持ちが発生する。
あって当然。
試合では相手と戦うことと共に、自分と戦わなければなりません。
そのなかで、技の先端まで神経を行き届かせ、相手の肉体ギリギリに技をコントロールする。
たまたま届いた技ではなく、自分の技に最後まで責任を持ち、自分のコントロールした技で相手との真剣勝負に臨む。
一本勝負の魅力その2
真剣勝負のなかで自己の心と技をコントロールする
どちらが強いか
一本勝負では、どちらが「強いか」を競っています。
ポイントの多さを競っているわけではありません。
スポーツ的な要素としてルールがあるだけで、相手を倒すという武術に基づいています。
相手からの技が自らに加撃されたときには、ルールでは反則という判定がされますが、それは技を入れられたということ。
実際は倒されていたかもしれない。
ましてやダメージを受けた「アピール」は恥ずかしいことであり、以ての外です。
スポーツのルールに基づいた試合ではなく、武術に基づきスポーツの要素を取り入れた試合。
一本勝負の魅力その3
武術に基づいた試合
あとがき
○ブラクロ的『一本勝負の魅力』
- 一瞬のミスも許されない緊張感
- 真剣勝負のなかで自己の心と技をコントロールする
- 武術に基づいた試合
だから空手の一本勝負は面白い!