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【空手道稽古持論 技術】前屈立ちで、軸足の踵が浮かないための方法
過去の二つの記事で、前屈立ちで踵が床から浮いてしまう原因や、なぜ踵が浮いてしまっ ...
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『前屈立ちでの踵が浮かないための方法』の記事に対して質問を受けました。
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体の軸が左右にブレる理由はいくつかあります。
ブレないようにする方法も、私なりにいくつかありますが、その前に、
試行錯誤をするのも稽古のうち。
今回はあえて技術的な答えではなく、なぜ軸がブレてはいけないか。
その軸の「なぜ」に迫りたいと思います。
「なぜ?」という『発展的な疑問』は、課題に立ち向かうエネルギーになります。
目的を間違えなければ、いつかはそこに届くはずです。
目次
なぜ軸はブレてはいけない?
移動距離が長くなる
例えば、左前屈立ちで前に出るときに、軸足(左足)に移動足(右足)を一旦寄せてからスリ出し、肩幅をとって右前屈立ちになる動作。
軸脚に移動足を一旦寄せた時に、体の軸も軸足側(左側)へ寄ります。
次に移動足をスリ出し右前屈立ちになると、今度は右へ体の軸が寄ります。
その次に、右前屈立ちから前へ出て左前屈だちになると、軸が右に寄った後に左に寄ります。
前に出る動作なのに、実際には体が『ジグザグ』に前へ出ていることになります。
注意ポイント
初心者には前屈立ちの練習として、『軸足に移動足を寄せてからスリ出す』という動作の練習はします。
これは、前屈立ちの足の運び方を学ぶために、レベルに合せて段階的な手法として行っています。
『運足を覚える』ということを練習しています。
遅い
短い距離と長い距離。
同じ速さで移動したら、早く目的地まで到達するのはどちらか。答えは、多くの人が答えられるはず。
左前屈立ちから一歩前に出て右前屈立ちになる過程の中で「ジグザグ」に体の軸が移動してしまい、結果として体の移動距離が長くなってしまっているのです。
避けられてしまう
仮に、相手が右上段追い突きで攻撃を仕掛けてきたとします。
黒帯の人が、最短距離で「ズバッ」と攻撃してきたときと、
白帯の人が、「よいしょ…」と攻撃してきた場合。
避けやすいのは、空手をやったことがある人なら誰でも分かります。
避けやすい要因はいくつかありますが、まず単純に、攻撃が遅いほうが避けやすい。
相手を倒せない
空手道は、武技という技術的な基盤の上に立った武道。
護身術でもありますが、攻撃をするということは相手を倒すということが前提。
「いざ」というときに相手を倒すという目的が達成できなければ、ただの身体運動になってしまいます。
身体運動がいけないのではなく、武道として空手というものの技で相手を倒すという目的を達成できないということ。
仮に、右上段追い突きで攻撃を仕掛けた時には、一撃で相手を倒すという気迫を込めて稽古をしているはず。
立ち方(前屈立ち)のために追い突きがあるのではなく、追い突きで相手に攻撃を仕掛け、相手を倒すために前屈立ちという一つの有効な立ち方があるのです。
まとめ
前屈立ちで相手を攻撃するために、体の軸がブレてしまうと、無駄な動きになり、移動距離が長くなる。
移動距離が長くなることで遅くなり、相手に攻撃を避けられてしまう。
結果、相手を倒すことができません。
まとめると、
- 相手を倒すために、速い動作(身体の使い方)を獲得する。(目的)
- 速い動きを獲得すために最短距離を移動する。そのために、体の軸を左右にブラさないようにする。(課題)
『なぜ』を問うことで、『目的』が明確になります。
目的を達成すために、体の軸をブラさないという『課題』ができるのです。
目的(なぜ)を達成するために、どうすれば(課題)体の軸をブラさないようにできるか。
「なぜ?」という『発展的な疑問』から、課題に立ち向かうことも、自分を成長させる稽古のうちです。
目的を間違えなければ、いつかはそこに届くはずです。
ひとつひとつの積み重ねは小さくても、積み重ねたものは大きくなる。
そのひとつひとつは、「当たり前のこと」ばかり。
その「当たり前のことを」積み重ねた人にしか分からないこと、できないことがきっとある。
『千鍛万錬!』
空手道には、学ぶことや楽しむことがいっぱいである。