空手技術

【空手道稽古持論 技術】腰の押し出し方を考える。前屈立ちから学ぶ2つのポイント

腰の押し出しは空手の技に重要な役割を果たしています。

例えば

  • 相手へ攻撃をするために間合いを詰める
  • 突きや蹴りが目標へ当たった時の衝撃に負けないように
  • 相手に反撃の余裕を与えないように果敢に攻め込む

逆に腰の押し出しが無ければ

例えば

  • 足だけを出しても相手に攻撃が届かない
  • 手や足だけの攻撃では、目標へ当たった衝撃力に負けてしまう
  • 攻撃を仕掛けようと間合いを詰めても、逆に間合いを切られて反撃を受けてしまう

稽古の時に指導者から

  • 腰を押し出せ
  • 腰を相手にぶつけるように
  • 後ろ足の膝を伸ばすように

という指導を受けている方もいると思います。
私も何度も注意されてきました。

『形(かた)』でも平安初段の1挙動目から腰の押し出しがでてきます。

どうやって腰を押し出せばいいのか。
今回は分かりやすいように『前屈立ち』を例にとり、ブラクロ流の持論で解説をします。

 

前屈立ちを例にすると

左前屈立ちから一歩前へ右脚をスリ出し、右前屈立ち

前へ移動するには前脚(左脚)を軸足として、後ろ脚(右脚)を引き寄せた後に前へスリ出し、右前屈立ちになります。
この前屈立ちで一歩前へ出るときに腰を押し出します。

ここで間違えてはいけないことは、後ろ脚を前へスリ出す力で腰を前へ押し出すのではなく、軸足の押し出しで腰を前に押し出すのです。

しかし、ただ軸足を伸ばせば腰を押し出せるわけではありません。

軸足で床面からの反作用を使い、腰を押し出すのです。

床からの反作用のイメージ

床に5kgの重りを置いたとします。
床面が固ければ、床が沈むこともありませんし、浮き上がることもありません。
この状態は5kgの重さで押された力に対して、床面が5kgの力で耐えているということです。

見方を変えれば、、5kgの上からの力に対して、床面が5kgのちからで押し返していると言い換えることもできます。
なせなら、床面が5kg以下の力ならば沈んでしまいますし、5kg以上の力ならば床面が盛り上がってしまうからです。

仮に100kgの重りで沈まなければ、100kgの力で床面が押し返しているということになります。

これを『床面からの反作用』といっています。

理論的には床が壊れなければ、床面へ押さえつける力が強ければ強いほど反作用の力は強くなります。

(正確な物理とは違うかもしれませんが、私の理解しているものをイメージとしてお伝えしています)

軸足と床面からの反作用

話を前屈立ちに戻します。

左前屈立ちから前へ移動するときには、後ろ脚(右脚)を引き寄せるときに軸脚(左脚)に体重を移します。

体重を軸脚へ移すことによって軸脚を強く踏ん張ることになり、床面を強く圧迫することができます。
この軸脚で床面を強く圧迫させることによって、床面からの反作用を得ることができます。

軸脚で床面からの反作用に負けないよう踏ん張り、腰を移動する反対方向へ軸脚を強く突っ張ることで、腰を前へ押し出すことができます。

 

腰の押し出しのポイント

足裏全体で床面を圧迫する

踵を浮かせて床面を圧迫すると、大腿の前側(膝の上の辺り)と脹脛(ふくらはぎ)の筋肉が優位に働きます。

腰を押し出すときに膝が伸びず、軸足を強く突っ張ることができません。

足裏全体、特に踵側で強く床面を圧迫することで、大殿筋(お尻の後方筋肉)を働かせることができ、軸足を強く突っ張ることができるようになります。

股関節を曲げる

足裏全体の押さえつけと関係していますが、軸脚に体重を移した時に足首しか曲げることができないと、腰が浮いてしまい軸脚を強く突っ張ることができません。
特に足首が固い人は腰が浮くか、軸足のつま先が先に開いてしまいます。

実験してみればわかりますが、股関節を固定したまま軸足に体重を移動させると、膝関節を十分に曲げることができず、足首に負担がかかってしまいます。

軸足へ体重を移すときには、軸脚側の足首、膝とあわせて『股関節』も曲げます。

股関節を曲げることで腰を水平に移動することができ、軸脚で床面へ圧迫することができます。

また、股関節を曲げることで、股関節を伸ばすことができます。
股関節の伸展と足裏全体で床面を圧迫し、突っ張り合うことで膝も伸び、軸脚の力を十分に発揮することができます。

 

まとめ

腰を押し出すには

ポイント1

〇軸脚で床面を圧迫し、床面からの反作用を得る
【ポイント】足裏全体、特に踵側で床面を圧迫する

ポイント2

〇腰を移動させようとする反対方向へ軸足で強く突っ張る
【ポイント】股関節を使う事で軸脚を強く突っ張ることができる

 

基本動作で行っていることも、実際に自由組手になれば、踵を付けて動くということはほとんどありません。

身体を速く動かそうとすると、踵は自然に浮いてきます。

大切なことは、踵が浮いても前屈立ちの移動で得られる床からの反作用と軸足の突っ張りを使って、腰を前へ押し出すことができるようになることです。

床面からの反作用を使った軸足の突っ張りは、腰の押し出しだけでなく、腰の回転の大きな原動力になります。

基本動作で得られた動作を自由組手に使えるようになるまで稽古しましょう。

 

常に求道者であれ!

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