空手道人生

どうして伝統空手は「寸止め」なのか?空手道人生で知っておきたい2つのこと

寸止め」という言葉を聞いたことはありますか?

押忍!ブラクロです。

現在、伝統空手といわれる多くの団体が、相手の身体に技を当てない「寸止め」とう方法を採用し、競技や練習を行っています。

しかし「寸止め」とは、ただ技を止めればいいという簡単なものではありません

寸止めであったとしても「空手の技である」こと。

そして、「自分自身をコントールする」こと。

この記事では

  • 寸止めとは?
  • 寸止めとは「技を止める」のではなく「空手の技である」こと
  • 寸止めとは「自分自身をコントールする」こと

について紹介していきます。

皆さんのこれからの空手道人生に少しでも役に立ったり、モチベーションアップに繋がれば幸いです。

最後までお付き合いください。

 

寸止めとは

まだ空手に競技や試合が無かった頃は、大学生を中心に技を試し合う「交換稽古」というかたちで自由組手が行われていました。

その当時の交換稽古には現在の試合のようなルールもなく、急所を攻撃しない、攻撃技は止めるという一応の約束事があった程度だったため、怪我人も多く発生していたようです。

先人たちが研究を重ね、安全に試合や技を競い合うことができる、かつ空手の技を技の本質を失わないよう『相手の身体に技を当てない「寸止め」という方法』が採用されました。

「1寸」ではなくギリギリ「寸」前

1寸=約3センチ

「寸止め」とは、文字のイメージから、「相手の身体から約3センチの位置へ技を止める」という意味にとらわれがちですが、正確には「相手の身体ギリギリ寸前」ということが正しい表現になります。

  • 相手の身体ギリギリ寸前に目標を設定し、
  • 相手を倒すことができる威力ある技で目標を撃ち抜く。

言葉では「寸止め」と表現をしていますが、相手の身体のギリギリ「寸」前なのです。

 

寸止めとは「技を止める」のではなく、「空手の技である」こと

「空手の技である」こと

「寸止め」という相手に当てない技であっても、空手である以上、空手の技であることが必要です。。

だからこそ「技を止める」のではなく、「空手の技である」ことを理解する必要があります。

ブラクロ
「似てて非なるもの」です

空手の攻撃技の一つ「突き」に例えると、

技を「止める」

技を止めるということは、相手の身体の手前で拳にブレーキをかけ、技の勢いを「止める」ということ。

技の勢いを身体の手前で止めているので、威力もない技になってしまいます。

拳が「相手の身体の手前へ届いた」という結果だけ。

「空手の技であること」

相手の身体の寸前に目標を設定し、空手の技を目標に対して瞬間的かつ最大限に威力を発揮をさせるということ。

「空手の技であること」と言葉では簡単に表現はできますが、技術としては簡単にできるものではなく、日頃の練習や鍛錬が必要になります。

拳をただ振り回しただけでも、相手の身体がそこにあれば相手に当てることはできます。

しかし、

  • 相手との距離が近すぎれば、技を当ててしまう
  • 相手との距離が遠すぎれば、技は届かない
  • 攻撃するタイミングを逃せば、相手に技を入れることはできない
  • 目標を正確に捉えていなければ、威力を最大限に発揮することはできない

目標寸前へ空手という威力ある技を発揮するために、「距離」や「タイミング」、「目標を正確に捉える」という技を出す寸前にある「過程」を大切にしているのです。

技を当てないからこそ威力を磨く

相手に突きや蹴りなどの技を当てないからこそ、当てたときには相手を倒せるだけの威力を磨くことが大切です。

ブラクロ
刀を研ぐように技の威力を磨くこと。

一つの突きや蹴りで相手を倒すことを目指し、日頃から鍛錬をすること。

実際には一撃で相手を倒すということは至難の業です。

  • 至難の業であるからこそ、理想を目指し少しでも近づけるよう鍛錬をする
  • 完璧な技が存在しないからこそ、より良いものを目指し、研究し、工夫をする
  • より強く、より速く、より的確に目標を捉えられるように何度も練習を重ね、高みを目指す

言葉として「寸止め」という表現をしていますが、あくまで相手を制することができる武道の技術という基盤があってこそ、はじめて空手の技になる。

一つの突きや蹴りで相手を倒すことを目指し、日頃から鍛錬をすることで、はじめて「寸止め」という方法が成立するのです。

 

寸止めとは「自分自身をコントールする」こと

技と自分自身をコントールすること

技をコントールするためには、自分自身をコントロールすることが大切です。

相手があるということは、相手という目標も防御や反撃のために常に動いています。

間合い(相手との距離やタイミング)や攻撃のチャンスなどを捉え、動く相手の身体の寸前に最大限の技の威力を発揮させることが必要になります。

ブラクロ
攻撃のチャンスを捉えるためにも、数え切れないほどの技術や教えが説かれています

拳の先や足の先まで神経を行き届かせ、相手の身体ギリギリにコントールできるよう、自分の技に最後まで技に責任を持つこと。

「いつでも相手に技を当てることもできる」「寸前に技をコントロールすることもできる」という選択を自らの意思でできるということ。

そのためには何度も練習を繰り返し、自分自身をコントロールできるようになるまで高めることが必要。

寸止めとは、自分の技に責任を持ち、自らの意思で選択ができるように「自分自身をコントロールする」ことなのです。

 

あとがき

「寸止め」とは

  • 技を止めるのではなく、空手の技であるために、技を出す寸前にある「過程」を大切にしている
  • 一つの突きや蹴りで相手を倒すことを目指し、技を極めるために日頃から鍛錬をすることで、はじめて「寸止め」という方法が成立する
  • 自分の技に責任を持ち、自らの意思で選択ができるように自分自身をコントロールすること

「寸止めと」は空手道を修行するための、一つの方法論です。

しかし、先人たちが導き出した寸止めといいう理念から学ぶことははたくさんあります。

先人たちが残した素晴らしい空手に触れ、汗を流し、これからも楽しい空手道人生を歩んでいきましょう。

 

空手道には、まだまだ学ぶべきことや楽しいことがたくさんある!

-空手道人生