空手道人生 空手の型(形)

空手の型(形)の演武に大切な「残心」。知っておきたい4つのこと

押忍!ブラクロです。

今回は、空手の型(かた)を演武するために大切な「残心」についてお話ししたいと思います。

型の演武で「残心」が大切なことは知っていますか?

型の競技で、最後の動作が終わると気持ちが抜けたり、最後の礼の途中で服装を直したり、帯を直したりする癖がついている人を見かけます。

ブラクロ
いわゆる「ザンシン」がなっていない。

組手の競技でも、攻撃の後に相手に背中をを向けたり、気を抜いて相手から打撃を当てられてしまっている人もいます。

古来より武術には、相手と戦う上で大切な「残心」や「残身」という実践上の重要な教えが説かれています。

それは一人で演武をする型においても例外ではありません。

この記事では、空手の型を練習すること、演武することで大切な「残心」について、大切なことを4つ紹介します。

「残心」を大切にすることで、型の演武が変わるかもしれません。

空手を稽古するみなさんに、少しでも参考になれば幸いです。

 

型を演武に大切な「技の攻防」の残心は、関連記事『基本一本組手で武道の「残心」の精神に触れる』を参考にしてください。

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残身とは…

全身の気力を傾けつくして打突したとき、自然にそのに油断のない心が残ることをいうのです。
<中略>
相手をじゅうぶんに心残りなく打ち、打ったあと必ず寸分の油断のない構えにかえることを「残心」といいます。

引用元:『剣道段級審査』 成美堂出版 昭和50年 白神敏雄、松延市次編著 136ページより引用

ここでいう「」が「」ることを「残心」といいます。

心を残せるように技に余裕をもって打つのではなく、全身の気力を傾けつくして打ち、油断のない心が「残心」となるのです。

中途半端な気力では、残る心も中途半端になります。

ブラクロ流持論では、「残心」があり、油断のない構えにかえることで「残身」となるのです。

残心を残す心と思うなよ
  打った気力を暫しその儘

引用元:『正眼の文化』 講談社 1981年 井上正孝著 105ページより引用

私が一番しっくりきている「残心」の表現が、この詩に表現されています。

稽古に取り組んでいる皆さんが、この詩を自分なりに解釈して稽古に励んでみてはいかがでしょう。

(以下、「残心」「残身」は「残心(残身)」と表現します)

 

空手の形と残心(残身)

受けて終わりではない

武道を含め相手との戦いでは、受けで始まることはあっても、受けで終わることはありません。

空手の型では「受け」で終わる挙動もありますが、実際の攻防では「受け」で終わることはありません。

「受け」で終わるのではなく、受けた時に反撃できる心の構え(かまえ)が必要であり、実際に反撃できる体勢であること。

私が若い時の師範の稽古で、型の受けの動作の後に、

君なら、この受けの後にはどんな反撃をする?
師範

と問われました。

若い時の私は、

ブラクロ
え~っと(汗)
「え~っと]という返事は無いよ
師範

「残身」の無い私は、師範からいつも戒められていました(汗汗)

型の演武では、受け技の後に「どんな反撃をするか」「どんな反撃ができるか」を考える必要があります。

そして、反撃のできる「心」と「身体」であることが「技に残心(残身)」をつくります。

例えば、抜塞(大)の2から3挙動目

相手の右の中段突きを、左手で左に受けた後に右手で右へ受け返し、不利な体勢から有利な体勢に受け返す動作。

受けただけでは相手を倒すことはできませんから、受けた後にどんな反撃で相手を倒すのかを考える。

理にかなった反撃であればいいのです。

ブラクロ
私なら、左の上段突きか右の中段前蹴り

もしくは、左上段廻し蹴り

形の応用として、反撃まで想定して稽古する。

形の演武では、受けた後に反撃は"しない"までも、反撃できるように心と身体を準備している動作であること。

この、外見からは見えない心と身体が「残心(残身)」として現れ、型の演武で表現する残心(残身)となります。

形の終わりまで

形の最後の挙動が終わった後、すぐに気を抜いたりダラダラすることを、空手では厳しく戒められています。

最後まで油断なく、いつでも変化に対応できるように気を緩めず、静かに元の位置の戻ること。

演武が終わり、一礼が終わるまで、しばらくは気力を充実させていることが、型に残心(残身)をつくります。

 

あとがき

まとめ

  • 全身の気力を傾けつくして打ち、油断のない心が「残心」となる
  • 「残心」があり、油断のない構えにかえることで「残身」となる
  • 外見からは見えない心と身体が「残心(残身)」として現れ、型の演武で表現する残心(残身)となる
  • 演武が終わり、一礼が終わるまで、しばらくは気力を充実させていることが、型に残心(残身)をつくる

武道は武術的技術の基盤に基づいたものであり、「残心(残身)」とは、武術という実践の中から生まれた大切な教えです。

心と身体が二つで一つであり、どちらかが欠けても成り立つものではありません。

突いて残心、蹴って残身、演武で残心(残身)。

常に残心(残身)を心掛ける。

空手の型の稽古で、日常で忘れかけている「残心(残身)」を体験してみてはいかがでしょうか。

 

空手道は、学ぶことや面白いことでいっぱいである。

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